
医者も歯医者も、もちろん医者と歯医者にかかります。ではコーチは、コーチングを受けるのでしょうか? 私は健康チェックの一つとして、ときどき受けています。ですので、コーチングを受けることに慣れているつもりでした。
しかし、それは状況にもよるということを最近経験しました。
つい最近、インタビューを受けて、2週間後にその内容をコーチと一緒に分析するというプログラムを受けました。2回(合計約2時間)会うだけで1,000ドル、約15万円かかります。
小さくない投資なので、金額に見合う効果が得られそうな話題を見つけたかったのですが、前夜になっても何も思いつきませんでした。寝ながら考えようと思ったのは大間違いで、まんじりともせぬままに夜が明けました。コーチ研修で短いコーチングを何度か受けていたので、話題が尽きてしまったのです。その日の午後、しかたなく自分の中ではほぼ解決していた話題を一つ出しました。ところが、これがなかなか面白い会話になりました。
そのきっかけは、コーチが使った correct という言葉でした。私は何かを選択する場合の right と wrong について話していたのですが、彼女が correct を使ったとき、何かが頭にひっかかりました。彼女は「私はcorrect と right を同じ意味で使っている」と言いましたが、大事なのはコーチがどう思うかではなく、クライアントの私がどう理解しているかです。私はそのときどきでの最善の選択を考えていたのですが、correctという言葉に「すでに定められているあるべき姿」のイメージを感じ、それに違和感を覚えたのでした。人生は作り続けるものだという私の信条に、この言葉は相反するのです。自分の視点を再確認するよいきっかけになりました。
ですので、皆さんもコーチングを受けている間に、しっくりこない言葉に出くわしたら、そこで立ち止まって考えることをお勧めします。
その数日後、急にスピードを上げてきた対向車と交通事故を起こしそうになり、長めの一旦停止の大切さに気づきました。前へ前へと進むだけでなく立ち止まる勇気も必要だということを、改めて認識しました。これは、経験に意味を見つけ、それを自分の世界観に取り入れるという、コーチング効果の一つでした。
リーダーシップは「内面のゲーム」と言われます。コーチの質問に答える作業を通じ、自己認識を深めるとともに、思考と行動の幅を広げることができます。
コーチングのクライアントには、「一つか二つ、最近の出来事で気になることを話題として持ってきてください」と頼みます。「あまり真剣に考えないでください」とも伝えます。心にひっかかっている話題は、何か大切なものにつながっているので、話題選びに神経質になる必要はありません。コーチとして、そのことを頻繁に経験しているのですが、いざ自分が高額なコーチングを受けるとなると、話題選びに力んでしまったことが、我ながら可笑しかったです。
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